2015年に世界遺産に登録された長崎県の軍艦島。
遠くから見ると軍艦に見えるためこの名前がついた島で、現在は無人島となっています。
実写版映画「進撃の巨人」のロケ地にもなっており、不気味な建物や廃墟の迷宮が残されている稀有な島です。
上陸するためにはツアーに参加しなければならず、ツアーに参加したとしても上陸は当日の天候や波の高さに左右され、困難を極めます。
かわうそは実家が長崎であるにもかかわらず、まだ軍艦島に上陸したことがなく、
いつか必ず軍艦島に上陸したい…!
と願っていました。
今回、やっとその願いが成就したので、軍艦島上陸クルーズの体験記です。
記事のポイントを先にまとめておくと…

目次
イントロダクション:軍艦島とは?
軍艦島(ぐんかんじま)は、日本の長崎県にある小さな島であり、正式には「端島(はしま)」と呼ばれています。
この軍艦島という名前は、島の形状が軍艦に似ていることから付けられました。
軍艦島は、2015年に世界遺産に登録され、クルーズ船で訪れることができますが、上陸できるかは天候などの運で決まります。
現在は無人島ですが、かつて炭鉱町として栄え、多くの労働者が働いていました。
軍艦島の歴史
19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本では石炭が重要なエネルギー源であり、軍艦島はその石炭の産地として栄えました。島は石炭の豊富な埋蔵量を持ち、炭鉱が盛んに営まれていました。軍艦島は人口密度が非常に高く、その小さな面積に多くの建造物が建てられていました。労働者やその家族が島で生活し、学校や病院、商店などの施設も存在しました。
しかし、1960年代になると石炭需要の低下や石油の普及などの要因により、炭鉱の衰退が進み、1974年には最後の労働者が島を離れました。
現在、軍艦島はその異様な景観と歴史的価値から、2015年には世界遺産に登録されています。島には廃墟となった建物や炭坑跡が残されており、その風景はまるで廃墟の迷宮のようです。軍艦島は、歴史と文化の貴重な遺産を伝える場として、多くの人々に訪れる観光スポットとなっています。
軍艦島クルーズの魅力
軍艦島クルーズの目的は、軍艦島の歴史的な魅力と興味深さ、他では見られない景観を体験することです。ブラックダイヤモンド号で行く軍艦島上陸クルーズでは、船上から軍艦島の風景を眺めたり、島に上陸して廃墟となった建物や炭坑跡を探索することができます。
また、軍艦島は映画やドラマの撮影地としても知られており、その特異な風景が映像作品によって広く紹介されています。クルーズに参加することで、映画やドラマで見た軍艦島の舞台を実際に体験することができます。
軍艦島クルーズは、歴史と文化に興味のある人々や写真愛好家にとって特に魅力的です。船上からの眺めや上陸しての探索は、まるでタイムトラベルをしているかのような感覚を味わえます。軍艦島のクルーズは、現代の観光客にとっても貴重な体験となることでしょう。
軍艦島クルーズの体験
高島海上交通が運営する「軍艦島上陸クルーズ」に参加しました。
こちらのクルーズは、所要時間3時間で、午前と午後の2便、そして軍艦島だけでなく高島という島にも上陸するツアーです。
ここがポイント!
所要時間:3時間
午前1便、午後1便の1日2便
高島→軍艦島に上陸
なお、受付は長崎市内の「軍艦島クルーズ(株)」と書かれた小さな事務所で行います(ターミナル内や桟橋ではないので注意してください)。
ゆめタウンの近くで、アパホテルの目の前です。
誓約書に記入をし、チケットを買うと、乗船時刻と乗り場(桟橋)を案内されます。
乗り場はこんな感じです。
乗船します!
2階建てになっていますので、景色を楽しみたいという方は2階へどうぞ。
暑いのが苦手で冷房がほしい!という方は1階へどうぞ。
トイレも1階についています。
クルーズ開始!
長崎の港を出発し、詳しいガイドとともに、さまざまな景色を楽しめます。
見えてきたのは、海上自衛隊のイージス艦です。
三菱重工業長崎造船所で造られているそうです。こんごう型護衛艦の1番艦というそうです。
次に見えてきたのは、女神大橋です。
長崎を代表する非常にすぐれた景観の一つです。アニメ「色づく世界の明日から」にも登場します。
どんな大型客船もこの橋の下を通れるように、高めに設計されています。
かわうそがツアーに参加した時は、大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」が長崎に停泊していました。ダイヤモンド・プリンセス号は長崎港で造船されています。
しばらくすると、伊王島が見えてきました。
伊王島は長崎市内から行けるリゾートスポットです。正面に見えているのはカトリック馬込教会です。
高島に上陸
しばらくすると、高島に到着しました。
歓迎されています。
高島も無人島だとてっきり勘違いしていたのですが、バリバリ人が住んでいて、マンションやキャンプ場、体育館や温泉施設(高島いやしの湯)なんかもあります。
しばらく歩くと、小屋に到着し、模型を用いた軍艦島の説明を受けます。
かわうそはのんびり歩いていたので出遅れました。
模型はこんな感じです。
小屋のすぐ横には石炭資料館があり、展示が充実しています。
軍艦島への上陸
高島を出発すると、次はいよいよ軍艦島です。
海上に浮かぶ軍艦島
軍艦島が見えてきました。
軍艦島に上陸!
とうとう軍艦島に上陸です。
ガイドさんが
「今週は運がよくて上陸できました。先週と先々週は全くダメでした。上陸確率はここのところ大体60%くらいですね」
とおっしゃっていました。
珍しかったみたいで、上陸できたことに感謝です。
かわうそは以前にも一度上陸ツアーに参加したことがあるのですが、その時は波が高くて上陸に失敗しています。
さて、上陸するとガイド説明してくれる箇所は3ポイントあります。
学校跡
1つ目の見所は学校跡「端島小中学校跡」です。当時、軍艦島唯一の学校だったそうです。
構造は詳しくは見えませんが、1〜4階が小学校、5〜7階が中学校だと聞いています。
遠くから見るとこのような感じです。倒壊がかなり進んでいます。
桟橋
2つ目の見所は桟橋です。
当時働いていた多くの労働者が、この階段を上り下りして堅坑(けんこう)から炭坑へと下っていったそうです。そのため、階段はすすで黒くなっています。
その深さは、地下600mあり、かなりの速さのエレベーターで下っていったというから驚きです(東京スカイツリー1個分とか、考えたくもない)。
ピンク色の一見豪華そうに見える建物は倉庫だそうです。当時はそれほど使われていなかった建物で、さほど重要ではないそうです。
アパート
最後の解説ポイントは、なんと日本最古の鉄筋コンクリート造りのアパート、30号棟です。7階建ての立派な建物です。
中のフロアが、陥没してしまっているところがあります。なんと過去に上陸ツアーの真っ最中に音を立てて壊れたようで、たまたま動画を撮った人がいたらしく、その日のニュースにもなったそうです。
ガイドが終わると写真の時間
ガイドの時間が終わると、自由時間があります。
その時間で、写真を撮ったりのんびり歩いたりすることができます。
こちらは台風で決壊した堤防です。
島の内部から海を向いた方向ですが、本来は海が見えてはいけないのだそうです。
堤防は比較的直近の台風で決壊したらしく、修繕が追いついていないようです。
軍艦島と港を繋ぐ桟橋は、このような簡素な造りです。
パイプの上に橋が用意されただけのものです。
確かにこれだと、波が高かったり天気が荒れていたりすると上陸できませんね。
橋自体もかなり細いです。
さて、船に戻ってきました。
非常に満足なツアーでした。
へそ曲がりなかわうそは、上陸した初めは「みんなはしゃいじゃってw まあまああまり期待しないでおこう」ぐらいのテンションだったのですが、島での滞在時間が終わってみると、船に戻ってきたのは最後でした!
誰よりもはしゃいでたのは自分でした。
船の座席は左側→右側がおすすめ
この上陸クルーズですが、船の座席は
(軍艦島到着前は)左側 → (軍艦島出発後は)右側
の順番で着席することをオススメします。
なぜかというと、高島から軍艦島に向かう際、船は左回りで運行するため、左手に軍艦島が見えるためです。
一方、軍艦島を出た後の帰りは、右側に着席することをオススメします。
軍艦島出発後は長崎市街が近づくとガイドがあるのですが、小菅修船場跡(通称「ソロバンドック」)やグラバー園は、右手に見えるからです。
なお、行きの高島までの間はどちらでも構いませんが、右側がオススメです(長崎造船所がよく見える)。
高島や軍艦島に上陸して皆さんが船を降りると、座席はシャッフルされるので、早めの確保を頑張ってみてください。
軍艦島への訪問者が守るべきルール
軍艦島上陸にあたって、いくつか注意点があります。それは…
日傘は使えないので帽子をかぶる、雨傘も差せないのでレインコートを着る、スニーカーを履くなどの注意が必要です。
軍艦島は日単位で壊されつつあります。
昨日まであった堤防も、今日の台風で決壊してしまうのです。
それだけもろい島だからこそ、観光者はルールを守る必要があるのです。
まとめ
スタッフやガイドの方々のおかげで、思い出深い軍艦島観光ができました。
ガイドの方のお話は面白く、自然に頭に入ってきます。
船から降りるとき、スタッフの皆さんがお辞儀をして見送ってくれ、一番最後にはガイドの方が誰よりも深々とお辞儀をしてくださいました。
これこそ、日本の良さだなあとしみじみと再発見した、心に残る旅でした。